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[やはり、脱いでいくユリウスからは頬を赤らめながら視線を逸らして。
脱ぎ終わったものを受け取りながら、逆に自分は元通りに服を身に着けていく。そしてそっと視線を戻すと、ユリウスはブラジャーと…白いソックス、だけ。
思わず鼻血が出そうな姿に、くらくらしながら。]
え、えと。
これをこうやって…。
[折りたたんだりひだを取ったりしながら、ユリウスの身体に白いシーツで服を形作る。できあがり、と言って数歩離れて見てみると。]
ん…ぱっと見は大丈夫だと思う…。
[胸元をカシュクールにして腰で留めた、ロングドレスのような姿になった。その格好をじっと見つめると、セリナはもう一枚シーツを取り出してきて、ユリウスの頭からふわりとかぶせた。]
……花嫁さん、みたい…。
[楽しそうに微笑む。]
っは、ぁ……
[唇が離れると、酸素を求めて喘いだ。
キスだけでこんなにも動揺するのは、とても久しぶりで。
クレールからの熱と恥ずかしさで、本当の少女のように頬が上気していた]
――――…………
[ようやく息を整えると、クレールは叫び、泣きはらす。
その涙は街灯のほのかな光に照らされ煌めいて、とてもきれいに見えた]
クレール、ちゃん。
[愛していると言われると、ぽつんと彼女の名を呼んだ。
その声は、先刻まで彼女を弄ぼうとした者の声には到底聞こえなかっただろう。
泣く彼女と視線を合わせ、そらし。そんなことを何回かそれを繰り返した後]
[自分の体にシーツで服を形作って行く様子を、大人しく眺める。
果たして大丈夫なのか、という不安な心持ちだったが、完成したのを見てみれば感嘆。
「器用だな」と、感心して言う。
どちらにしろ似合っていないのは変わらないが、先程より百倍マシである。]
これなら、ここと寮を往復するくらいは出来るか……。
[ふうむ、と唸り。
頭に乗せられれば、やめんか、と払い落して、]
五年後か、六年後か…それくらいに取っとかんか。
[冗談めかしながら、そんなことを。
既に乾き始めている下着とスカートを回収する。]
資格なんてない? ありすぎるじゃないか。
私をこんなにまで動揺させてさ。
ああ、もう。
もう。
[いつしか、苦笑は微笑に変わる。
優しげな、彼女は見慣れていたであろう、"マレーネ"の笑み。
大きく、開き直るかのような溜め息をついた後。
静かに、問うた]
……クレールちゃんは、これからどうするの?
あ。
[払い落とされたシーツを、ちょっと不満げに見る。しかし。]
…五年後……。
[セリナ18歳、ユリウス…22歳。
想像して、勝手に一人恥ずかしそうに、嬉しそうに。]
…これから、どうしますか…?
[シーツを元通りにして、マットレスは……染みができているのはもう見なかったことにして、ユリウスに向き直った。]
[セリナが、こちらの言葉の意図を察したのを様子から悟れば、にやついた。
どうする、と言われれば腕を組む。]
とりあえず、寮の私物を回収する。セリナの部屋もな。 [リヤカーでも借りるかな、と呟き。]
それで何処か、貸し部屋を……
……嗚呼、そうだ、既に退学届は出してあるからな。
[後について思いついた事を口に出しながら、当然のような顔で言葉を付けたし。
どうやら、もし一緒に行く事を断られてもついて行く心づもりだったらしく。]
[やさしい声で呼ぶのを聞いた。
やさしい表情で話すのを見た。
じっと、マレーネの言葉に耳を傾けた。]
また…救ってくださるんですね。
こんな私でも…マレーネさんの傍にいていいんですね。
[見慣れた笑みをクレールに向ける
“いつもの”マレーネがそこにいた。]
あなたについて行きます。
[マレーネの瞳をじっと見据えて、静かにそう答えた。]
[ぽかんと。既に退学届けを出してある。そんな言葉に、ひたすらぽかんと。]
ゆ、ユリウスさま…。
[その行動力には敬服するが、さすがにセリナは身が引き締まる思いで。
私物を回収すると聞けば。]
あ、あの。
サイドテーブルの上に、小さな蝶…ピンクのものと白いものがあると思います…。
お気に入りなんです。
それも、もってきてもらえますか…?
[お願いをした。]
[ぽかんとする様子を全く気にも留めずに、何だ、などと。
まるでそこまで重大な事情でもないかのように、平然としていた。]
小さな…ピンク、と、白か。わかった。
とりあえず、部屋の備品以外は手当たり次第積むつもりだ。
[一つ頷く。]
では、行ってくる。少し時間がかかるかもしれんが…
セリナ君はここで待っている、かね?
[校内をうろつくわけにもいかんし。と。]
さすがにもう、入れないでしょうね…。特に寮内は。
[警備などもきつくなっているだろう。]
はい、ここでお待ちしてます。
よろしくお願いします…。
[ユリウスを見て、にっこりと微笑んだ。]
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