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一つだけあります。
[相手には見えないにもかかわらず人差し指を一本立てて告げる]
名付けて、差し入れ作戦。
あなた達は私が作った焼きそばを持って行って「焼きそば屋台からの差し入れでーす」とか言いながら選手達の元を訪れればいいんです。
[実のところ、方法はもう一つあるのだが、その方法――知り合った大会スタッフに直接訊いてみる――を告げるのはなぜかためらわれた]
[海賊剣の矛先が向けられる。]
これは良い剣だな。しかし、私にはこれがある……。
銀色の星!
[それは、相手の攻撃を受けとめるバリアーのようなもの。
ナサニエルの機体と剣がぶつかりあった所から星が出てくる。危険な状況で避ければ避けるほど綺麗な星となるその弾幕は美しく。
地上ではシルバーコレクターが危ないというのは知らず、綺麗な星を楽しんでいた]
[どうやらシャーロットはTweeHeart社員と勘違いしてくれたようだ。]
[ダグラスは「都合がいい」と研究員へ視線を送り――]
「え、あ、その」
[研究員はノープランで話しかけてテンパっていた。]
「ええと――ふぎゃっ!?」
おっと足が滑った。
[実力行使でひとまず黙らせ、誤魔化そうと。]
そうなんだよ、『紫陽花の花』。
俺達は本来は部門外なんだが、おかしなことが起こったっていうんで緊急招集されたのさ。
俺はダグラス、こいつはイノウエだ、よろしく。
[高層域を映すモニターが追うのは三つ巴になりそうな戦い。
旧型戦闘機と白鳥のような単翼機に漆黒の甲冑の騎士が割り入る。]
あれが、ゴードンを墜とした――……。
[漆黒の人型BFに別のモニタを寄せる。
そのときに隣のブースから声が聞こえた。
Marineblue Snailが墜ちたときも、ゴードンと同じように赤い光が、と。]
それなら、攻撃したのはやっぱりあの黒い…アンギャルドっとことですか?
[つい立ち上がって隣のブースに問いかける。
隣の記者は、渋い表情をして首を振った。
乱戦だったのではっきりとは追えていないんだ、と。
ただ近くにアンギャルドがいたのはチラッと確認はした、と。]
赤い光ねぇ…。
[どうも、と隣に礼を言って、席に座り込む。
モニターを注視しながら、噛み潰した煙草を灰皿にぐりぐりと押し付けた。**]
それに――この至近距離。悪く、思わないで、ねっ!
[高速起動。最速で発動する弾幕を選択。告げる]
“無作為の中に吹き乱れよ!”――『メルセンヌツイスタ』!
[左手首の『禍珠』から、無秩序な軌道を描いて打ち出される、数多の小型弾。色彩もまた無作為。色とりどりに乱れ舞った]
[笑った、アイツ、手間暇掛けて音量まで上げてまで笑った。
自分の判断ミスを笑うのはいい、――この機体を笑う事は。許せない。]
[高位を取ったのは速度が欲しいが為。
そのまま黒烏に向けて急降下はするが、撒く『ガトラル』は牽制程度。
そのまま下に抜ければ、可能な限り速度を殺さずクヴォルフィリアの後に付け様とする。]
……残念、こんな所で落ちるわけには、行かない。
あ…だ、大丈夫です、か…!?
[足を滑らせた、と言うダグラスと痛がるイノウエという男性。どちらも社内で見かけた事が無い気がするのだが、何分自分自身が正社員ではない為「部門外」と言われると素直にそれを受け止めた]
…おかしな、事ですか?
この大会で…?
[BFのコアが停止した、それ以外にも何かがあるのだろうかと考えながら、改めて2人に向き直って慌てて頭を下げて挨拶をする]
あ、あの、もしよろしければBFのスペースに行きませんか…?多分、スネイルネンも居るはずです。
いいえ?
[離脱する直前。オープン回線で入ってきた男の声に、さも当たり前のことのように返答する。
そう、当たり前だ。もちろん、情が移っていないといえば嘘になると思う。けれど、共闘を終えた後どうするか、どうなるか、は、それとは別問題だ]
ふたりと、ではありません。その時がきたのならば、お二人とも、小官が撃墜します。
そのためにここに…この大会に来たのですから。
[自分がこの空にいる理由はずっと変わらない。この大会に、勝ちに来たのだ]
…もっとも。それがお互い納得のいく形であればいい…とは思いますが。そのための共闘、と言ってもいいかもしれません。
[告げながら。小さな機体は、空域の最上層から、黒い騎士の姿を探していた]
ほぉ、あの星を受けてもまだ残っているとはな。
それならば、これはどうだっ!
[先程マシマに打ったのと同じレーザーのような矢を三本続けて打つ。
三本のレーザーでシュウ機の逃げ道を塞いだと判断したナサニエルは四本目の矢を打つ。]
食らえっ!
―― 南東 ――
[私の翼をへし折ったのは、黒い太陽のような光弾。
ぎり、と私は無い歯をくいしばるように歯軋りした]
(……強いな)
『ここばかりにいられないのに――』
[もがいて、上手く照準が定まらない。
そうしているときに、ニーナからの援助が入って、私の肉体は自由になる]
『……ありがとう』
[その礼は、肉体の解放と敵の名を教えてくれたことに対して]
[マリアは姿勢を徐々に白くなりつつある顔色で、
もう一度砲身を定めなおす]
『堕ちて。
倶利伽羅不動 ―― sigel ――』
[力強く、一気に弾幕が360度広がって、アルトキュラスムと黒い鳥に収束しようとする]
『ぐずぐずしていると、また誰かのコアが落とされる』
[マリアはそんな風に台詞を紡ぐけれど、
私は魔導銃の反動でくるくる宙返りをしていた]
『3人が残ったら』
(――その時がもし来るならば。
その後なんてもうどうだっていい)
[うらめしそうなイノウエ研究員の視線は流しつつ、信じている様子に内心ガッツポーズをとる。]
『スネイル』の奴、コアが急停止したそうじゃないか。
[と、頭を下げる彼女に]
ああ、しがない下請け要員だから、別に気をつかわなくてもいいぜ。
俺が気を使うの苦手だしな。
[笑って応える。]
[差し入れ作戦の是非はともかく、リーダーも彼以外の仲間二人も、それに少女自身もお腹がすいてきているということで。
そろそろ地上に降りてご飯にしよう、ということにはなった。
通話を終えると、空に向かって伸びをしつつ一言]
誰が勝つのかなぁ……
[そもそも、それを見届けに来たはずなのだと、自分に言い聞かせるかのように――]
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