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[赤毛の少女は、ヒューバートとは面識があったものらしい。
二人のやり取りを聞きつつ]
『ふむ。美人の相手ができないのは残念だけど、ここは似たような年頃同士が話したほうがいいのかもしれないね。僕は引っ込むよ、芹菜。』
[一瞬ひくり、と体を震わせる。改めて赤毛の少女に向かい合うその瞳には青い光は宿ってはいない。]
んー、と。あなたのお名前聞いていい?
[男の言葉から紫の少女の名を知りまた一礼]
[去る男の後姿から残る二人へと向き直るか]
[少女の瞳の色が変わると不思議そうに瞬き]
貴女は石道と云うのね。
私はヘンリエッタよ、よろしくレディ。
残る木の実を屋敷へ持って行くわ。
宜しければ二人も一緒に戻って召し上がれ。
[夢の 色は どろりと ぬめる 血の 色に 似て]
[夢の底で、誰かが呼ぶ声を聞いたような気がした]
────。
[窓から吹き込む風に、何かの気配を感じ取る]
──これは、血の……?
[嫌というほど嗅ぎ慣れた臭いに眉を顰め身じろぎ]
[椅子にかけたまま、背骨と四肢を伸ばす]
[その仕草はまさに今まで寝こけていましたと言わんばかりで]
結局は逃げられないのか──?
[呻る声は呪うように低い]
[幻覚ではないかとも、思う][この身はあまりに血に穢れ]
[故に身に染み付いた血の臭いが嗅覚を擽っただけではないかとも]
殺し殺されるは、もうたくさんだ──。
誰も脅かさず誰にも脅かされず、か。
安息など、本当に訪れるのかすら、分からないが──。
[開け放った窓の向こう][程近くには、"集会場"が見える]
彼らは、望む安息を得ることが出来るのだろうか。
[窓辺に立ち、ただ"集会場"を眺めている]
[ちょっと困った顔になって]
……さっきまでは石動だったんだけど、石動はもう引っ込んじゃったんだ。
芹菜って呼んでくれたらいいよ。
そうだね、ミッキーさんと一緒に戻ろうか。
[ミッキーに向けて声を掛け、大きな身振りでおいでおいでをする。]
[其れは視線だったのか]
[其れは気配だったのか]
[不意に遠くへ視線向け]
ファーカ?
[強化していない視覚も聴覚も]
[未だ何も視線の先には捉えず]
[けれど其処に彼女を感じるか]
[困惑の浮かぶ表情に益々不思議そうに]
[光の消え失せた瞳をじいっと覗き込み]
引っ込む?
芹菜?
戦闘時だけ狂う戦士の様に、
別の能力と人格でも宿るのかしら?
[半ばひとり言ちる如くに呟き]
[巨漢の男を呼ぶ声に貌をあげ]
改めてよろしく、芹菜。
では三人で屋敷に…
[不意に視線は遠くへと移される]
[視線か気配を感じてか小首を傾げ]
──ヘンリエッタ。
[届く声に言葉を返す]
私を、呼んだか?
夢の中で誰かに呼ばれた気がしたんだ。
[ふと、"私"は彼女の気配が近づいていることに気づき]
ああ、近くに来ているんだね。
[意識の外で、目を凝らせた]
[そこに"同属"の姿が見出せるかもしれないと期待して]
[そして]
ああ──。
[微笑む]
目が、合ったね。
[つうと視線を巡らすと、見覚えのある二人と知らない少女]
いったいこの村には何人がいるのやら。
それにしても結局邸に集まるのだな。
物好きな……。
[そんな繰言を呟きながらただその姿を眺めていると]
──おや。
[少女がすいとこちらを振り向き]
ま、仕方がないか。
[いまさら隠れたとてもう遅いと半ば諦め手を振ってみた]
[問い掛けに思案気に瞬く]
[彼女を呼んだだろうか?と]
ファーカも此処に居るかと探していたから、
若しかしたら無意識に呼んでしまったのかも知れないわ。
…貴女を、近く感じる。
[瞳を凝らすけれど身体強化能力は使わない]
[ただ石榴石の眼差しは彼女を探し求めて]
――嗚呼…
[まるで彼女の微笑む気配までが届く様で]
[薔薇色の唇は吐息を零し睫毛は震える]
はじめまして、ファーカ。
ボクはなにをしたらいいかすぐ決めれるわけじゃないんだな。これしかできないからなんだな。
[ヒューバートにそう答え、いつのまにか傍らに現れた赤毛の少女に視線を移し]
ボクはミッキーなんだな。よろしくなんだな。淋しい、というのはよくわからないんだな。でもここにきてからはなんとなく落ち着くんだな。
[少し考える様にしてからそういった]
[遠くの影は手を振ったらしき気配]
[すと目を細め瞳を凝らすだろうか]
[ドレスの裾を軽く持ち上げて一礼]
未だお逢いしていない人も多いのね。
あの方もいらっしゃるかしら?
[相手に届かぬ呟きを零しては]
[屋敷でのひと時へと誘う如く]
[大きな所作で恭しく屋敷を示し]
若し此方で逢ったら、
また自己紹介からしないとかしら?
[くすり] [くすくす] [くす] [くすり]
[悪戯な子供の愉しげな笑みを零し]
ん、もどるのかなんだな。わかったんだな。あとそれは運ぶのかなんだな
[芹菜の手招きを見てとりあえず館に戻ることにしたらしい。昨日の流れからかヘンリエッタの持つ木の実をみてそういった]
[ヘンリエッタの言葉に、同じくくすりと笑う]
二度の「はじめまして」か。
妙なものだな──。
[トーンの違う二つの笑いが重なり響く]
[石榴石の瞳は緩やかにオートマトンの巨躯へ映る]
先にステラから貴方の事は伺ったわ。
私はヘンリエッタよ、
よろしくミッキー。
[暫くはじいっと彼を見詰めてから小首を傾げて]
ミッキーは人が居ると落ち着くの?
[問い掛けに傘を持った侭に緩やかに被りを振り]
未だたくさんあるから手では持ち難いし、
この傘は大切なものだから自分で持つわ。
お気遣い有難う、ミッキーは優しいのね。
[少女の所作に、手を下ろして小さく嘆く]
……結局、行くことになるのか?
それにしても、あんな小さな子供までが訪れるとはね。
やはり奇人変人大集合か。
[この村にたどり着いたということは、すなわち彼女もただの子供であるわけはなく]
……明らかに呼ばれている気がするが……。
[足は素直に意を受け躊躇]
[傍らで巨躯が彼女へと手を振るのを眺め]
もっと近くでカーファと逢いたいわ。
此処に居ないところを見ると、
余り人と近付くのは好きではないの?
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