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[目にとまったのは、確か“魚屋”とか名乗っていた有髭の男。]
……ふむ、ここにも変わった御仁が一人、と。
なかなか面白いね。百鬼夜行という感じで。
今は昼だけどさ。
[ミッキーの様子を見ていると思しき“魚屋”。]
あーあ。ついて歩いてるよ。ストーキング……って訳でもなさそうだけど。
何かを探ってる?もしくはそう思わせたい?
[青い瞳を眇め、少しだけ緊張した面持ちに]
〔…そして、館の外へ出てきた方へも、目が合って胸に手を当てて背を丸める挨拶をする。…その出会いも、男が何かを学ぶためにきっと必要。…期待感にか、幾分目眩すらする。〕
…やあ…芹菜。
すてらから紹介して貰ったヒューバートだよ。
家が決まったから、知らせておくよ。
川辺にいちばん近いところが、ボクの塒。
〔緩やかに杖先で方角を指し示し…相手の返答を待つ。
ふと漏れ聴こえた言葉に、片目を眇め…〕
百鬼夜行…この村のことかい。
……まぁね。恐らくは芹菜や僕らも含めてそうなんじゃないかな。
[ヒューバートから独り言への反応が返ってきて、内心面食らいつつも答えを返す。]
〔声をかけた相手から反応があると、足を止めて其方へ向き直る。〕
…キミに興味があったものだから、
声にも敏感になってしまったな…アハハ。
"僕ら"…なのかい。芹菜とは違うのか…
…キミたちの名を聞いてもいいかな。
〔少し考えて…歩を寄せる。〕
…常にひとりで…ひとりじゃないというのは、
どんな気持ちなんだろ。
僕は“石動”だ。あと、シャーロットさんが“裂光”って奴に会ってる。
他にもいるけど、彼らが出張ってくるときは剣呑な状況の時だろうからね。
ま、会わないほうがお互いの幸せのためだよ。
[青い瞳を相手に据え、もう一つの問いかけには答えぬまま]
……ところで、何が知りたいんだろう?ヒューバートさんは?
では宜しく…石動。
シャーロットというのは…ああ、蒼髪の方だね。
…確かに、…ボクもキミによくない魔法を
かけるのは嫌だし…そんなことはしないよ。
知りたがり屋なんだ…尋ね方が下手なのにね。
〔ゆっくりと深呼吸して、青い瞳を見詰め返す。〕
…人の気持ちと、自分の認識の違いが知りたいんだ。
ボクはキミたち皆が好きになりかけてるから、…
誤解で傷つけるのがこわくなったんだよ。
普段ひとりで過ごしてるから、尚更。
〔そして、不意に口にしたばかりの自分の言葉に驚く。
微かに糸目が見開かれ〕
…自分で行ったそばからこれだ、…
今のは嘘だね。
…ボクは…手を出されたらやり返さずには
いられない性質だから。
…石動。…妙な気配があるのに…気づいているかい?
妙な?
……ミッキーが妙な感じがするのには気づいてるけれど。
[恐らくヒューバートの言っているのはそれとは違った何かのことだろう。
黙り込み、あたりに注意を集中する。]
[外の様子を見てくるという彼女を見送って、ソファーの背もたれに深く体を預けた。
塗られた薬の匂いが、あの小屋で髪をなでていた温かい手を思い出させる。
…おそらく、見つけて手当てをしてくれたのは彼女なのだろう。]
助けられて、ばかりだな。
[気遣ってもらったり、手当てをしてもらったり、運ばれたり、食事を与えられたり。
見ず知らずの者たちの情けを頂いて、それでようやく生きている。
傷ついたこの身では、今は何もできなくて。
小さく溜息をついて、傷をさする。]
…ボクは、まだ彼をよく知らない。
不思議で偉くて…こわいと思ってる。
〔相手の様子に、此方も暫し口を閉ざす。
顎へ手をやると、口元を覆い…首を傾けて瞼で頷く〕
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