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でも残念ね。わたしは簡単に貴方へ命なんて預けないの…。
[アンクレットに通された鈴の音が、ひとつ宙に舞う。
同時に女は身をかわして僕を床へと滑らせる。足許を這い、獲物の首を狙う蛇の如く。]
[しかし空を切るラッセルの攻撃に、白い肌が艶やかな朱を纏うのも確かで。
女の身は、LatestOpeとの戯れから確実に俊敏さを失いつつある。]
─回想・B2F"Red"floor─
[す、と影の男が無造作に前に一歩踏み出し、」
[ギャリギャリギャリ─…ッ]
[異様な音を立ててオードリーが構えた“針”に金属質の鞭が巻きつく。
左手首から生えているかのように見えるそれを、影の男は左腕ごと大きく振って、強引に揺さぶりをかける。]
[そして。
体勢が崩れるのを確認もせず、間髪入れず更に前へと間を詰める。]
…なるほど…そういうことか…。
貴女とWidowedGentlemanもよく似ている…。
[何かに納得したかのように小さな言葉を零し。足許を這う天使の僕からは逃げようとはせず、むしろ迎え入れるように影が近づくのを待つ…もしも鮮血を生む音が鳴るのなら、その瞬間青年が浮かべるのは苦悶ではなく愉悦の表情]
貴女も勘違いをしているな…。
僕は遊んでくれる人には敬意を示すけれど、
全ての面倒を見るとまでは言っていない。
僕が導けるのは貴女が眠るその瞬間まで…
あとはどうなろうと知ったことではないよ。
だって、全てを奪おうと思う程…僕は貴女に情を抱いていない。
…貴女とWidowedGentlemanを見ているとこの言葉を思い出すな…
――If you run after two hares, you will catch neither.
…そういうことだよ。
[フロアに咲く二輪の赤い花に目を細めるだろうか。切っ先を彼女から引き、身体に纏わりつく影を振り払うと再び風を凪ぐ音を響かせる。急所を狙うのではなく、更に多くの花を咲かせる為に]
《業務連絡》
キャロルに関してですが、残念ではありますが、こちらに来て頂けない以上は処刑票を投じざるを得ないと私は考えています(一応突然死設定はONにしてありますが…)。
キャロル(の中の人)にもいろいろ事情はあるかと思いますので、村建て人としては「来られるようなら1発言でも構わないので来て下さいね」と言わせていただきます。
――回想・B2F"Red"floor――
――…ッ…!!
〔女が持つ針は、インパクトのタイミングをずらされると気の通りが鈍くなる。大きく揺さぶられると、途端に左肩へ鋭い激痛が走り女は苦痛に容貌を歪ませ〕
…っくぅ…
〔体勢は――無論崩れる。併し此方はフロアの隅を既に背にしていて退路はない。押されるような格好になるのを…思わず抱き留める。…否、腕に感じられはしないのだろうが…女が見るイメージの世界では、彼の腰を支えにするに似て…振り飛ばすような投げを打つ〕
〔影の拳は、投げを打つ女の大きな挙動に遮られるか。女は壁際から逃れることはせず、虚空へ彼の輪郭を見始める。〕
…ッ、ハ…
…ジーン。…君の腕が見えない…?
これが、「知らない」ってこと…か…?
[もし使い魔達が、青年から滴り落ちる鮮赤に喉を鳴らしたなら。
女は微笑を粧うだろうか?]
――ん…っ
少し違うわね。わたしは全ての面倒を見て欲しいとは言って居ないわ。
わたしは1か0を求める人間。だから中途半端は嫌い…。
あなたがわたしの命を奪える時は、わたしの全てを奪おうと思ったとき…。
だからまだ貴方にはわたしの命は奪えない。奪わせない。たとえ貴方の一太刀で命を落としたとしても…。それは貴方が奪った事にはならない…。
[遮られた拳の先から──極細の鋭刃が4本すべり出てくる。
延びるその軌跡の上に肉があれば、切り裂かんというように。]
[影の男の姿はぼんやりとぼやけ、薄靄よりも朧で。
攻撃する瞬間の、気の集中でさえも細い糸のよう。]
[が、それでも。
男は『まだ』完全に姿を消してはいない。気配を絶ち切ってはいない。]
[耳を掠める風音に、女はヒール音を鳴らす。逃れる為か、それとも誘い込んでいるのか。
真実は彼女しか知らないのだけれども。]
ねぇ、StiweardShip。
花弁を散らすなら、もっと綺麗に散らせて見せて?
わたしは醜いものが嫌いなの。
[口許に浮かべる挑発的な微笑。
しかし踊る心臓は、確実に死の誘惑に捕らわれていて――]
Nec possum tecum vivere, nec sine te.
──I can't live with you, nor without you.
[影の男の小さな呟きが虚空に消えた。]
[青年の黒い服は更に濃く染まり…しかし侵食を進めることはない。そのことに面白くなさそうに陰鬱な吐息を零し]
…1か0を…本当に?
僕にはそうは見えないけれど…
貴女の言葉と、心には…
数多の矛盾があるような気がしてならない。
――ア……!!
〔シャンパンゴールドのジャケットが、突き出される爪に皮膚ごと裂かれて鮮血を散らせる。女の胸元には、浅い4本の傷が刻まれて…身を低く片脚で持ち堪える〕
…そんな。ジーン…
〔呆然と、併し直観の世界で意識を彼に傾けながら女は呟く。――胸の傷に驚いているのではない。直に響くような、彼の吐露…聴こえてしまった其れに、瞬時だけ女は身を守ることを忘れた。〕
……君は…私に"恋"をしている…? …
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