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─2F "Blue"floor─
[金属音が鳴り響き、二人の刺客の死闘が続くなか、『準備中』のままフロアは閉鎖され、客の姿はない。
そこに不意に透明感のある男性の甘い声がピアノの音色とともに流れる。]
─1F "Platform"─
[カウンターでカクテルグラスを手にしたキャロルの背に、細い刃が打ち込まれる。]
[ひどく優しく、甘く、……そして、どこか哀しみを帯びた男の歌声が"Blue"フロアを包み込む。吹き抜けの青いフロアは、透明で巨大な海の底の海のような表情を見せる……]
何ごとだ。
戦いの場に、このような音は相応しゅうない。
……………いや。
この"Blue"に鳴る音にあらず。
誰の仕業だ。
[――グラスの割れる音がする
床には中身が飛散しガラスの破片が飛び散る]
・・・何?
[...彼女はカウンターから数歩離れた場所から闇を視据える]
─1F "Platform"─
[振り向けばそこに立つは死……否、死神の如き影を纏った男。
身構えもせず自然体で、両足を肩の幅に広げて立っている。
その蒼白い顔はあくまで平静。
闇黒の眸が光を呑み尽くすように深遠の虚無を湛える。]
――2F"Blue"floor――
〔左半身がハンマーの下敷きにならぬよう、寸でのところで体を逃れさせた。食い縛った歯の隙間から、押し殺した苦鳴が漏れ…〕
…うぐ、…っ
〔常は針を持つ左が肩から疼いて、みしりと嫌な感触もある。
折れたか砕けるかしているのかとはまだ解からなかったが――
女の無意識は、フロアに流れ出す旋律があるのを捉えていた。〕
『――Your Song…?』
〔果たしてその曲の意味を、此方は理解したかどうか…否。〕
〔――ドクン。女の胸に…新たなbeatが宿る。〕
ふふっ…。顔を傷つけられたくなかったら、上手に逃げて?
貴女には、それは容易いことじゃなくて?
絳花はねぇ、無粋なお爺ちゃんに横取りされちゃったの…。真っ先に、誰よりも深い傷を。あの柔らかい肌に刻みたかったのにね…。
でも、オードリーまでとは行かないけど、貴女もなかなか味わい深い素肌の持ち主だから…。
刻んであげたいわ?綺麗な綺麗な赤い疵を。その躰に…。
[腰元から取り出された凶器が、フロアライトに照らされて妖しく輝く。滴り落ちる朱を纏うように。
そして刹那、自らに向かってくる。真っ直ぐに。迷い無く。]
そう?ここは赤くて綺麗な場所じゃない…。だから貴女の血が流れ落ちたとしても、きっと違和感無く染まると思うわ?
だから、私の鮮血で汚したりしてはいけないのよ?
[「いけない子ね?」
唇は彼女の行動を嗜めるように動き。一振りされた部下はメスを叩き落す。
しかし一本は彼女の手の中に納まって。間髪入れずに元の主へと返される。狙われた右手から、左目を狙って。]
このような口上を述べるのは自分の本意とするところではないが。
そう、君はやり過ぎたのだ。
[キャロルを見据え、影の男は淡々と語り掛ける。]
〔それから投げかけられる、ローズの言葉と…情深い視線。
愛憎の死天使からの賜りものは、昨夜グラス越しに交した
くちづけとささやかな時間を胸に過らせて…
重なり響きあうbeatは、いつしか女の中でグルーヴを醸す。〕
…辿り着くさ。其処まで……否、その先もだ。
〔何時しか纏いつかせる空間のちりつき。
常は内包する気力が滲む程に…女の切っ先は冴える。〕
〔ダニエルのハンマーに砥ぎ上げられた剃刀は更に薄く鋭く
鋼に弾かれてしまう程度だった此方の武器の瞬間的硬さは
胸裡のグルーヴに高められ――今は硬度8をも越える。
大概のものは触れて撫でれば斬り飛ばす…後は此方の*腕次第*〕
「彼ら」が欲しいのは、疑問をさしはさまず、ただ命令を忠実にこなす猟犬なのだ。
そうでない者──己の意を通そうとする者、制御できない者、不適格とみなされた者は不要、なのだ。
あははー、そこら辺の子だったら楽だけど…
流石にローズが相手となると、ねー。
[メスが床にたたきつけられる様子を見れば、小さく口笛を鳴らし]
壁がちょうど晴れる…絶妙なタイミングだと思ったんだけど、ねー。
[煌めき。此方に向かってくる何かを感じれば、半身をずらし]
そっか、ダニエルに取られちゃったんだ…不思議。
順番を護れないほどに、何か煽ったのかな?
…んー、傷つけられるのはあまり好きじゃないんだけどな…
[後ろの壁にメスが突き刺さる。
軽い音が背後から聞こえると、狙われていた左目を閉じ]
…その、違和感無く染まるのが嫌なの。
[口に手をやり…その後、ポケットへと手を入れ。
手が出てくれば指弾でローズにカプセルを飛ばす]
──「彼ら」が自分に命じた。君を処分せよと。
"Vermillion-Jack"に対し不利益を与えた背任の罪で、君を処刑する。
[相対する黒い女に静かに告げた。]
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