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― 屋敷→表 ―
[木の実を齧るでもなくソファに腰掛けて]
[暫くは周囲の者達を見守っていただろう]
[はたり] [はた] [はたり] [はたり] [はた]
[編み上げのブーツはただ不規則に揺れる]
[すてらとシャーロットの出掛けるのを眺め]
私も外の空気を吸ってくるわ。
[屋敷を出れば人の気配に周囲を伺うか]
ファーカ、私は哀しいも寂しいも判らないのだわ。
同じくらい他者の幸福の基準も判らないけれど。
声も関係なんてなくて、ただ殺す為に殺すだけ。
だって私は其の為につくられた人形なのだもの。
[遠く眼差しは何も捉えずに揺れる]
只、貴女の身も心も傷つかなければ良いとは想うのよ。
…かわいい方だね、まったく。
ボク独りだ、…
〔…今のところ…と人影については此方も感じ取れるものを探って頷く。迎えに来てくれた相手の様子に、少し思案して…その手を取ることにする。〕
……まったく、風情も何もないんだけどね。
急ぐのだろ…
〔応用ではあるよね、と呟いて…ふたり洋館へと戻る。〕
幻術師 ヒューバートが「時間を進める」を選択しました
[洋館へと戻る魚屋たちの姿を目撃する]
あの洋館の中、いっぱい人がいるのかな。
もう少し中を見てみたいけど……
[頭のどこかで警鐘が鳴っている]
無理することはない。慎重にしよう。見つかったらどんな目に合うかわからないんだし……
[続く言葉を飲み込み、十姫を手元に引き寄せる]
―屋敷→表―
[黙って木の実を齧ってたが女性陣が出掛けた後おもむろに]
ちと気になる事があるんで外見てくんな。
[気配を絶って屋敷を出たところで立ち止まる]
―やれやれ、なんでこんなに多いんだか。
[すてらと出会う直前に見かけた人形の姿を認め思わず溜息を吐く。
本当に多い―人形、及び旧世界の遺産たる自動人形(オートマター)の割合が]
罪も、罪と感じなければそれは罪では無いと言うことか。
少なくとも、主観の上では。
私の疵など、今はもうどうでも良いんだ。
どれだけ疵付こうと、先に無が待っているのなら耐えられる。
けれど、……「ありがとう」
労わられ気遣われるるということは、心地が良い。
出かけるのだろう?気をつけて。
外では番人が巡回を続けている。死に抗おうと必死になっているよ。
逃れ得るものではないのにね。
願わくば彼の魂が浄化され、次の生では幸多からんことを。
[屋敷から更に人の出て来る気配に視線を移す]
[何時の間にか日傘を差し男の姿を見止め瞬く]
ナサニエルもお出かけかしら?
ほう、待ち人は可愛い方なのか。
それは尚更見つけ出さねば、お姿を拝見したいものじゃ。
お主も独りが寂しければ屋敷に来るとよい。
皆がおるぞ。
始めは慣れぬが皆、そんなもの同じじゃ。
歩み寄ろうとせねば得ることもできなかろう。
[カラカラと声をあげて笑い、風の音を拾いながらその方向を辿る。自然、洋館へ向かうこととなるのだが]
人探しに風情も何もなかろう。
ほれ、もっと必死になってみぃ!
[ヒューバートの背を掌で音が鳴るほど叩き、本人は悪気がない様子で空を見上げたり、景観の奥へと目を細めてみたり]
[ソファで眠っていたウルズの起きる様子に気づき、視線を向けた]
目が覚めたか。
[木の実の一つを取り──プラムに良く似た──投げて渡す]
少なくともファーカが罪と云うところを、
私が罪と認識しているとは思えないから。
殺す事が罪ならば、生きる事も罪だと、
そうなると全ては罪深いだけと私には想えるのよ。
[小さく小さく微かに零れる吐息は何の為か]
無は、本当にファーカの救いと成るのかしらね。
私には貴女が手を伸ばすのを厭うて居るように見えるわ。
大丈夫よ、ファーカ。
私は殺す為に作られた人形、
そして私は死を厭うてすらいない。
何が起こっても問題はないのだわ。
そうね、彼等がまた笑えるならば其れは素敵だわ。
其の魂が安らかなれば少しは意味があるのかも知れない。
――…私や貴女にも。
…夢を、みたよ。
[己の起きた気配に顔を上げた、傍らの眼鏡の少女に、まだぼんやりした声で告げる。]
淡い…青い光。
…それから、音だ。
鳥の声を、もっとずっと短くしたような…音。
それがずっと…ゆっくりとしたリズムで単調に聞こえてくる。
…あとは……
[寝覚めの意識がはっきりしていくうちに、夢の欠片は薄れていく。]
……だめだ、よくわからない。
[消え入るような声でそう言い、小さく頭を振った。]
そう、あてがあるならお邪魔かしら。
お暇なら何故ナサニエルが此処に居るのか、
訊いてみたくもあったのだけれど。
[男の言葉から人形へと視線を移すもあったか]
人が人形をつくるからではないかしら。
[静かな声が淡々と呟くも眼差しは揺れ]
[遠く持ち主を探す如く視線は巡るか]
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