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…"皆"で村を作る。
それがわしの望みじゃよ、しゃあろっと。
甘い覚悟も何もない。
あちらへ行ったもの全てを含めて"皆"なのじゃ。
わしの中では…既に夢は断たれておる。
…ならば何故全てを忘れさせてくれなかった?
[自嘲に首を振り]
お主を責めたいのではない。
そしてわしも責められる覚えがない。
友を救いたい、そう願っておるだけじゃ。
其処の井戸へお主を落とすことが救いになるのなら、
わしはそれをするよ。
そう…
彼等と共に生きたいと云うならば、
私は貴女を止めはしないのだわ。
今宵は私を井戸に棄てても良いのよ。
只、私達が居る限り、
井戸はきっと誰かを引きこむのでしょうけれど。
[何処か夢見る様に中空を彷徨う視線がシャーロットの怒声に反応したかこちらに戻り]
これはシャーロットの言う通りだね。すてら甘過ぎー。
[やはり小さく呟いた]
──ならばその望み通り、この手で全てを殺してやろう。
私を殺せない甘さの所為で他の者まで巻き添えになる。
お前の甘さが他人を殺すことになる!
いや。
今日落ちるべきは、私だ。
ヘンリエッタ──、本当に済まない。
私はお前にも、誰も殺して欲しくないと思っている。
願ったところで本質が許さないが……。
お前を好きだと言ったのに。
結局私は、お前を棄てることになってしまう。
一人にさせてしまう。
……本当に済まない。
[芹菜の視線に気付き一度歩みを止める]
[其の向こうに調律師と――暗殺者の姿]
[白い手は日傘の柄をきゅうと握り直す]
シャーロットも、優しいのだわ。
腐れた私を抱き締めて呉れたのは、
他の誰でもなく貴女なのよ。
[小さく小さく呟き再び歩き始める]
[微か聞こえる忍者の声に周囲を見回し]
[暗殺者の怒気を孕む声に直ぐ向き直り]
[彼等の傍まで足を引き摺り歩みより]
[片側だけドレスの裾を軽く持ち上げ]
御機嫌よう、お話は進んでいるかしら?
なぁ姉ちゃん?
[シャーロットにヘンリエッタの姿を目顔で指し示し]
あの嬢ちゃん、もう体がぼろぼろだよな。
もし俺があの子を楽にしてやりたいっつってこいつであの子を一突きしたら…
あんたどうする?
ファーカ、ごめんなさい。
私は、是しか術を知らないのだわ。
仮令、貴女が厭うても、
仮令、貴女を傷つけても、
私には、殺すしか出来ない。
私は――…貴女に生きて欲しい。
棄てても良いの、
私を厭うても良いの、
只、貴女に幸せに成って欲しいのよ。
[歩み寄るヘンリエッタに視線を留め]
────。
[哂う]
[彼女を軽々と抱き上げ、その喉元に指を掛け]
すてら、良く見ているが良い。
[ナサニエルに笑みを浮かべ]
そう、甘くて弱い。
それがわしじゃ、始めから隠してなどおらぬ。
…未だ、答えを出すことができぬのじゃ。
友を殺めようなどと、誰が簡単に答えを出せようか。
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