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[よく見れば、その細い刃は手の甲から直接生えたものであり、手を包む黒手袋には細いスリットが開いて生地が破れないようになっているのが見えたであろうが……それが分かる者は──本人と恐らくは対戦相手を除いては──いない。]
〔突撃の一足ごとに、過る想い。…『your song』。〕
私は信じているよ…ジーン。
君の心意気、キャロルの心意気。
"奴ら"が厭う「巧拙」は、今はどうだっていい。
君は苛烈な男だから、粛々と任務に従うかもしれないけれど。
きっと「忠誠」に抗う心意気を見せてくれる筈――。
キャロルは何故"Platform"に居た?
それがわからない君ではない筈だ。
…"迎えに行ってくれた"んだと信じている。
〔"Bleu"に居たローズの姿はいま見当たらない。
そしてこの場には、ニーナがいない。
女は、2人がダンスを共にしているのを知っている。〕
…ニーナ。ローズを引きつけてくれているんだな。
どちらが誘ったとか意図がどうだったかとか、
そんな些細な表層には私は興味がないのだけれど。
無邪気なニーナ…迷っているね?
本当に独りで戦うべきなのか。
いま独りでダニエル兄を引き受けている私と同じだ。
『相手の気持ちを楽にして差し上げるために』
自分に何が出来るかを、君は考えている。
…なんていじらしい…いとしい魂。…
そして、ローズ…君は矢張り情が深いよ。
身が裂けるような哀しみと孤独の中で、
一欠片の容赦もしないことを自らに課している。
…私と同じなんだよと囁いて抱き締めたいけれど、…
それでは私は自分を守れない…君に顔向けが出来ない。
私はどうしても、明日へ辿り着かなくてはならない。
…傍に居てくれてほんとうにうれしい…ラッセル。
私は君をいちばん蔑ろにしているというのに。
君になら裏切られてもいいと思っているよ?
「黙っていても忠誠を捧げてくれる」"StiweardShip"…
私が敢えて余計なことを口にするのを、わかってくれるだろうか。
「忠誠」を持たない…といま私は君の前で口にした。
自らを否定されたと思うか肯定されたと思うか…。
多分これは、私のとても大きな賭けのひとつだ。
どうかそのご慧眼で…私の価値を測っておくれ。
私は、君が動いてくれなければ
ジーンへの声を上げることが出来ない。…
――B2F "red" floor――
ふうん、人徳…ねぇ。いやな言葉…。見かけに由らずニーナっていじわるなのね
[放った部下は身軽なニーナには、やはり避けられたのだろうか?
残り数の減りつつある壁のいくつかの頭部を飛ばし、風の音を立てて女の許へ返って来る。]
焦らされてみれば、焦らし方が解るようになるの…?そう…それはいい事を聞いたわ。
でもねぇ、やっぱりわたしはいつでも主導権を握って居たい人間みたいなの…。
だから。わたしを操れるのは…兄さまと絳花だけで充分…。
それに…――知ってる?LatestOpe。蜜室でのWidowed
Gentlemanってねぇ…それはそれは綺麗に濡れるのよ?あの豊かな真朱の髪が、柴染の瞳が、桜色の肌が…。
仄かに甘く立ち昇る女の香りに酔いしれちゃったら…。きっと焦らされる事を待つなんて、莫迦らしく感じてしまうわ?
[自らが広げた距離、更に広げようとする彼女の足取りを、女は舞い上がる赤と共にほろ酔い加減で見つめては、何時かの情事を思い出し更に酔いしれる。]
"WidowedGentleman" オードリーは、"Sledge-Hammer" ダニエルに何度でも食らいつく。彼から貪欲に学ぶことを…諦めない。
だから。ねぇ?そんな子供騙しのシューターなんて使っていないで…。
[焦点を定める姿を、女は片目を瞑って見届け]
もっと近くにいらっしゃいな…。
毒使いのお姫様?
[気の抜けるような破裂音と共に、近くにあったテーブルを蹴り上げ、周りを動揺させると。
反射的に動きが止まった輩を盾に、女は毒のカプセルの軌跡から抜け出す。]
ねぇ、ニーナ。これはわたしの肌を傷つけたお返しよ?
充分愉しんで?あははっ!
[人混みの影から、常備されているローションの入った容器を、彼女目掛けて投げつけた。]
"ShadowWalker" ジーンは、"LatestOpe" ニーナ を能力(襲う)の対象に選びました。
"WidowedGentleman" オードリーは、"ExaltedAngel" ローズ・ブラントをもまた想う。…身が裂けるような哀しみと孤独の中にある彼女を…迎えに行かなくては。
――2F "Blue"floor――
[オードリーとダニエルの戦いを蒼い瞳は静かに見つめ続ける。
どちらを応援するでもなく、交し合う刹那の音に興奮するでもなく、
オードリーの持つ刃が煌く瞬間にだけ、僅かに口許が弧を描く。]
[耳を掠める悲鳴、鳴り止む事無く。
幾重に重なる不協和音に、次第と女は眉を顰めて――]
そうそう、ニーナ?
貴女の断末魔はもう少し綺麗に啼いてね?
[ポールダンス用の縦にするりと身を絡ませ。首を傾げて懇願する。そして、近くに居るDJに軽く耳打ちしてリクエスト。
すぐさま赤い部屋には大音量の曲が流れ始めた。]
"WidowedGentleman" オードリーは、"LatestOpe" ニーナが此方と同じ悩みを抱えているのを知っている。だから余計にいじらしく…いとしいと想う。
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