［宮古はデータを見ないまま、ロージアに視線を向ける。］

"フロウディア"は物質変換の能力をもっていますね。

その力で、我々が現場に駆けつけられる乗り物──ヘリか何かを作ることは可能ですか？
空中、あるいは現場で分解しても下に被害が出ないような物質…例えば水などを原料にすることが望ましいのですが。

［宮古が手元で操作すると、スクリーンには東京の地図が投影された。
　そこに記されるいくつかの明滅する赤点。］

皆さんからいただいた情報をもとに、目下、都をあげて、ナジームの動きを追っています。
プロファイリングを駆使して、次にナジームがターゲットにするだろう地点の割り出しも急いでいます。

裸足のメイドに関しても、パトロールを強化しています。

その結果、あるいは何らかの兆候があり次第、現場へ赴き、《HOPE》で対処するつもりでいます。

これまで、我々は後手後手に回っていました。

だが、これからは先回りして迎え撃つターンです。
そのためにも機動力は必要です。

いつでも出撃できるよう、備えは充分にお願いします。

　　その折には──無論、僕も同行します。

［宮古がブーストを機動させる。
　車椅子が背広姿を包み、光沢のあるフォルムに置き換わった。］

これが僕のブースト機体──都SF特012号 <東風> です。
お見知り起きを。

その名のとおりに「風」──圧縮空気を利用した、支援活動などを行います。
データの解析等も任せてください。

……ぬ。


[傷だらけの身体で、静かになったチェーンの向こうから出てきた女を睨む。]


まだ生きておったか、しぶといオナゴぢゃ……。

ワシは、ヌシのような奇妙なオナゴに会いとうはなかったぞい。

オナゴは愛嬌が一番ぢゃ。

［装着を解除した宮古は、皆を見渡して目を細めた。］

戦いの場に臨む前に、ひとつだけ訓示しておきます。

　　意志をもって殺戮を行う者に「理由」を問うのは、無駄です。

そういった相手に、「非道はやめなさい」と指示/懇願して事態がおさまるか、考えてみてください。
ましてや、相手の理屈に一考の余地があるなどど怯んではいけない。

どうしても「何故」を問いたければ、相手を屈服させてからすればいい。


　　何故を問う前に目の前の暴虐を阻止すること。
　　命を守ること。

それが我々の使命です。*

　……………

[リコイルスターターを引いた。
　秒速20mの刃が唸りを上げる。]

ーそして、夜ー

[軽く眠って、昼過ぎに目が覚めた。今日も嫌な夢は見なかった。代わりに見たのは、リヒタルが生み出した憎悪の光。その光は眩しくて飲み込まれそうになったところで目が覚めた。]

いってきます、牧師様。

[カバンには手作りのジャムサンドと、宮古さんの着替え。忙しいだろうから、と牧師様が持たせてくれた。]

　メイドは頑強さが取り得ですので。
　私を無力化したいなら制する事ではなく、殺す事です。
　メイドは愛嬌を振りまかない。
　操りの糸に忠実であればそれでいい。

[表情は見えない。
　けれど見えたなら、液に塗れた女は笑っていただろう。
　頭に咲く華の脈動が速くなる。]

　―――ただ、貴方のおかげで少しだけ思い出せた。
　私がどういう戦い方をしていた人間だったかを。

[生命の赤を透明の液で押し流すおんなは、構える。
　チェーンソーはだらりと腕へ垂れ下がっているだけ
　――のように見えた。]

ザーザー……


　　　　　　　　　　　　　ザーザー……


「豚どもに告ぐ。「我ら」シンドバッド、
　ナジーム=ラシュディらはゾンネ=ユーベルスの
　傘下に入った。我らの通告を無視した天罰よ。」

[雑音は途絶える**]

[会議室にあった温かい紅茶をすすりながら、話を聞いている。]

>>148 テレポートするNEXT…、私が商店街で会ったNEXTはテレポートしていた。>>1:255>>1:256

あの人は、宮古さんのデータにないNEXTなのかしら？

[後で伝えよう、名前もどこにいるかもわからないけど…。
まさか昨日、病院で戦っていたNEXTだとは知らない。]

まっこと、頑強と言うに相応しいのう。
何度も殺そうとしたのぢゃが、仕留め損なってしもうたわい。

……ほう、人間だった頃にも戦っておったのか。
ヌシも武の道に生きる者とは驚きぢゃ。


[三度、半身に構える。
左の手刀を前にして、その延長線上にある女の姿を睨み付けた。]

>>154 殺戮を行う者に理由を問うのは無駄？

そうかも知れない、市民の命を守る為にはそれに越した事はない。でも、何かが、引っかかる…。

ただ、NEXTを倒せば、それで平和になるのだろうか？

[紅茶を一口…、少し苦かった。**]

─ 都庁《HOPE》司令室 ─

[やって来た場所で一通り、話を聞く。
『お役所』的な部分に関しては、概ね想像通りだった]

……支部長がびみょーな顔、してた訳だよなぁ。

[思わず、こんな呟きが零れた。
『Blaue Flamme』全体としては、官庁との連携は歓迎している。
と、いうか、そうする事である程度自分たちの活動への『お目こぼし』もいただいているらしい。
そんな中で東京支部の支部長は、関わりあいを少なくしたがる、という点で妙に目立っているとかいないとか]

―　ビルの上　―

　……見つかったか？


[視線は街のほうを向いたまま
自分の背後へと声をかける。]