え、え、何？

[お言葉に甘えて、とつぶやいたメイドさんが…。

変身してバイクに管を寄生させている。]

あ…、あなた、さっきのNEXT？

[聞き込みをしていた時に聞いた。

商店街を血で染めた、おんなのNEXT！ ]

あなた…、悪いNEXTなのね、やめなさい！

―夜の街―

[ 夜の帳に包まれた街。
　電飾で飾られた、星の見えぬ都会の空を敢えて見上げる者はそう多くはない。
　だが、その死角を縫って、このようなものが闇に紛れて跳梁していると知ったなら、多くの人間は驚愕と畏怖に打たれるに違いない。++]

[怒りを込めた言葉を聞いたからといって、大人しくなるNEXTではないだろう。なら体で理解してもらうしかない。]

やめなさい、って言っているのです！

[バイクと管を切り離そうと、馬上から剣を振り上げ様とする]

─ 夜・街中 ─

[足早に道を歩きながら、ぼんやりと考えるのは、先に見た夢の事。
ふと、思い出して指折り数え。
それから、携帯を出して日付を確かめ、ああ、と目を細めた]

……そろそろ、墓参りに来い、ってお呼び出しかぁ、あかねぇ？

[携帯をポケットに戻しながらの呟きは、行き交う車の音にかき消される。
ふ、と一つ息を吐いて携帯をポケットに戻して、それから]

……あれ？
あそこを行くのは……もしかして、ツキさん？

[街灯の光に煌めくピアスは、見慣れたもので。
なんか、外でみかけるって珍しいなー、なんて思いつつ、首を傾げた]

[―――ごきゅごきゅごきゅごきゅごきゅ……。]




[順調に飲み干していた管は、女の一閃によって断たれた。
飲み損ねた燃料が、ぼたぼたと落ちる。]

[程なくして、異形はメイドの姿へと戻った。]

　悪いＮＥＸＴ……？

[メイドは、首をかしげる。
腕から生えていた管はどこにも無い。
変わりに、頭には花が生え、表情には笑顔が咲く。]

　………私は、しがないメイドでございますが？

[いつものように――いつものような、のんびりとした
笑顔が咲く。]

［信念。野望。信仰。狂気。うがってみれば、焦りや怒り、悲哀に喜悦まで。
　メモの内容からは読み取れる犯人の様相に想像を巡らす。
　何がそうさせるのか。
　何にそうさせられているのか］

……うらやましいことだ。

［呟いた言葉は、冷めた自嘲だった］

[手応えはあった。管を切断したところから、ガソリンがボタボタこぼれ落ちる。

彼女が人間体に戻ったのにつられて、自分も人間体に戻る。]

そうよ、悪いNEXTよ！商店街を血で染めた悪い人。
どうしてそんな事するの、メイドさんは人殺しなんてしない！

[彼女が、のんびりとした笑顔を向けるが、こちらは強張った顔をしたまま…]

[ 悪夢でしか見られぬような巨大な蟲。
　間近で見たならば、どうしてこれほどの大きさのものが発見されずに移動できるのか不思議に感じるだろう。

　甲殻の6本の脚がコンクリートを掻き、ビルの屋上を疾る。
　足音は巨体に似合わぬほど軽く小さい。
　金属が擦れ合うような微かな音の他は殆ど無音。
　それが、林立するビルの間を駆け抜け、或いは跳び、恐ろしいほどの速さで移動していく。]

―夜道―

――――ン、

[ふと立ち止まり、顔を向けた。
見返りの角度。]

…ああ、あんたか、

[カザナギヒエン。
月の猫によく一杯飲みに来る青年だ。]

珍しいな。

[自分の方が外にいるのが珍しいのは、棚上げだ。]

あなた…、おかしいわよ。

[最後につぶやく様に。彼女が抵抗しないなら、手を掴み身柄を確保するだろう。

犯罪者NEXTには、NEXTの法律がある。法の裁きを受けてもらわないといけない。悪いNEXTがいるから、他のNEXTが白い目で見られる。このままにはしてられない。]

　………？

　あれを殺せ、これを殺せ、
　どうせならもっと歪に滑稽に――
　メイドたるもの、頑強であり壮健であり
　ヒトの首の一つや二つは刎ねられねばなりません。

　それがメイドというものですから。
　出来ねば他の奴隷と同じように死ぬだけです。

[メイドは、どうしてそんな当然の事を聞くのか、とでも言いたげに目をまるくする。]

[手を掴む手をじっと見つめる。不思議なものでも見ているようだ。]

　？

[メイドは、あくまで笑顔を崩さない。
首を傾げる度に、頭の花が一つ揺れる。]

─ 夜・街中 ─

や、ども。

[立ち止まり、こちらに向いた視線>>307に返すのは、お気楽、という一言で表せるにぱ、という笑顔]

いや、珍しい、はこっちのセリフな気が。
珍しいですねー、外で出くわすとか。

こんな騒がしい時に散歩……って、感じでもないのかな。
俺は、仕事から上がるとこですけどね。

―夜道>>311―
―――…

[相変わらずの笑みに、
ツキシロはいつも通り愛想が足りない。]

…出歩くくらいは、
しないわけじゃない。


野次馬…
というわけでもないが、
爆発が……あっただろ

[新聞をばさり、と差し出して。]

―――…仕事…救助に？