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ー エントの街・民家 ー
[訪ねた先の家には、年老いた男性が1人で住んでいた。依頼の詳細について尋ねてみる。]
ふんふん。なるほどねェ。じいさんが現役時代に保守点検を請け負ってた街道のことが気になるのか。
この地図の…赤丸が付いてるところが、地盤が不安定で、大雨なんかで崩れやすいトコなんだな。
そこを見てくりゃいいのかい?
[頷く老人に、ふと頭を過ぎった疑問をぶつける。]
…でもよ。なんで退職したあんたが、こんなこと気にすんだい?放って置いたって街の方で何とかすんじゃあ…
[余計な一言で、老人のスイッチが入る。老人は、自分の仕事を引き継いだ連中のことを、延々とグチり始めた…]
わ、わぁーった!わぁーった!
つまり、苦情が来るまで対応しねえような若い連中には任せておけねえってんだな?
へいへい。俺が代わりに見てきてやんよ。安心して待ってな。
有利だから美人がいいのか?
ミリちゃんは見た目を武器にした行き方がしたいのかい?
だったらそういうのが得意な女紹介してやるぜ?
好きなだけ勉強すればいい。
女ってのはいくらでも化けられるもんだ。
・・・さーて、ヴァレリアとはここで一区切りかな。
ちょっと怒らせてみたいと思ってたんだよなぁ。
どうするかねぇ?
もー。
ハロウィンのお祭りのことばっかり!
[しばらく図書館で調べていたが、『お化けカボチャ』を調べると、ハロウィンの情報ばかりが出てくる。
ぷうっと頬を膨らませて、広げていた図書館の本を全て閉じると元あった場所に戻してきた。]
魔術師ギルドの先輩に話を聞いたほうがいいのかなあ。
[ぶつぶつ、別の情報源を考えながらいつものように大きな本を背負うと、図書館を出た。]
『見た目を武器にしたいわけじゃなくって……
有利だから、ってわけじゃないですけど……でも、子ども扱いされるのイヤ……っていうか。
……勉強、したら……』
[消え入りそうな声でぶつぶつと呟いた。]
『……?
でぇとで女の人を怒らせて、どうするんですか?』
うわぁ、揺れるオトメゴコロ!
俺様ゾクゾクしちまうぜ。
[楽しそうにひとしきり笑って]
本心が分かる。
たまーに、怒りのパワーで覚醒するタイプがいるんだよな。
違っていたら残念だけど。
[あっという間に、自分の顔が、ヴェイドの顔のすぐ近くに引き寄せられている]
な!? そんなこと……な……
[先ほどの気負いの内、上澄みの力んだ部分だけが、心の動揺せいで追い出されてしまったように感じた。否定の言葉を言い切れずに、口ごもる自分の動きが、赤面に拍車をかける。それはほんの一瞬のことで……『努力しなきゃ』の言葉とともに、彼のもとから開放された]
……ご高説。どうもありがとう。
言いたいこと?
ええ。私も、こんな目に合わされるなんて……もうたくさんよ。
[ちらり、とヴェイドを一瞥すると、ふて腐れるように、そっぽを向いた]
[ヴァレリアの様子に、軽く苦笑いする。一発殴ってくるくらいならばまだ張り合いが合ったのだが、コナかけは成功したのだろうか?]
じゃ。
[手を振ってギルドのほうへと歩き出す。
ヴァレリアが自分に対して不審な何かを感じているのは間違いない。しかしあえて口止めもしなかった。]
『も、もー!!
そんなにからかわないでくださいよっ!』
[笑われて、顔を真っ赤にする。
通りすがる誰かに変な子を見る目で見られているが、それは気にして治るものでもなく。]
『……でぇとで、怒りのパワーで、覚醒……?』
[ミリの頭の中で、怒って顔を真っ赤にしながらヴェイドに「最低!!」と平手打ちをするヴァレリアが浮かんだ。
平手打ちのあとは、ヴェイドは大きく吹っ飛ばされて近くの壁に頭をめり込ませている。]
―冒険者ギルド―
[図書館を出て、ギルドへ向かう。
受付で昨日の依頼内容を、もう一度詳しく確認して溜息をついた。]
……全滅だけじゃない……
[そう言って呟くと、他の依頼内容も確認。
別に同じようなカボチャの依頼は発見できなかった。]
『え?
いいえ?何も。』
[そうアッサリ言った。
ミリにはただ想像しただけ、というつもりでヴェイドに何かをしたつもりは無い。]
……ん?スコルさんの伝言?
[依頼の一覧を見ながら、スコルからの伝言依頼に気付く。
しかし今は、調べもののほうに集中しようと、頭にの隅に留めておくだけにする。]
[ヴェイドは、ひらひらと手を振り、去っていく。彼が完全に背中を向けていることを確認すると、顔を背けたまま、横目で視線だけを送り、見送った]
言いたいこと? 聞きたいことなら、たくさんあるわ。
どうして、洞窟に行くのを認められたのが、あなたじゃなかったのか、とか。
それと……他のみんなにも、こんなことしてくれているのか、とか……。
……二つ目のは、どうでもいいけど。
[彼の行く先がギルドだと察しても、その後ろをついていく気になれず、…は、はぁ、と再び草原に寝そべった。ラフィに治してもらった手を、じっと見つめる]
『努力しなきゃ』、か。
ねぇ。みんな。もし、私がお願いしたら、みんなの命、託してくれる?
私も、みんなのためなら、できること、全部やるから。
[手に、意識を集めていないせいか。返答は誰からも返ってこない。視界の端で、草原の草に顔を突っ込んでいたモーリスが、『どうしました?』とでも言いたげに、顔を上げただけだった]
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