>何もない隅を見つめて猫が鳴く 母食い尽くし我が腹も鳴く
猫あるあるに+aしてみた作品。
>盃が進みゆくほど透き通る妻のお里は掛け軸の中
美人幽霊画話です。肌は透き通るほど(実際透き通ってるんだけど)で
うっすら頰が染まるのを想像してちょうだい。妻ってところが誠実です(何
「盃を重ねるほどに」の方が自然な言葉遣いだった。推敲足りなかったー
>つき落とし火刑水責め木に吊るし 罰金土葬 ああ安息日
言葉遊び系。ロシア民謡の「一週間」のメロディでどうぞ (嘘
いろんな方法で処刑されてみたつもりだったけど、刑吏視点でみると業務日誌?
>信じない 幽霊なんているものか ここにいるのは私だけ。──「かな?」
末尾の声は幽霊のものだという解釈が一般的ですが、見知らぬ人だったら警察を呼びましょう。
>帰り道 突き当たりにあるカーブミラー 助手席の彼 そこにだけいる
いろんな車の助手席に出現するとしたら、案外と気の多い彼氏かもしれないぞ。
>願はくは 花の下にて 春死なむ 浮かれた衆生 皆道連れに
わかりやすく本歌取りの作品をひとつ、と思ったけど、うっかりするとただのテロリストでは(←
おたふくちゃんは西行返しありがとう♡
>託すべし 貴船は遠し 電柱に 鳴く蝉の横 打つ藁人形
最近は木製の電柱もほとんど見ないけども。
蝉を出したのは、蝉くらいあちこちに藁人形が…という映像も良いかなーと思ってだったけど
昼なのか夜なのかわからなくなってしまったな。
>ひたひた「?」 ひたひたひたっ「…気のせいか」 ひたひたぴた「!」 バタンむしゃむしゃ
オノマトペ系。一拍の間や驚愕に息を飲むのもちゃんと一音分に組み込んで作ってみる試み。
>夕立に白く霞んだ交差点 精霊船が兄乗せ渡る
幻想的なのも入れておこうかなと。
交差点はまあ辻なので。雨が紗幕を作ったりすると見えたりするのです。
>朝まだき 裏の畑で ポチが鳴く 去年親父と 重ねて埋めた
「ここ掘れわんわん」と地面の下から告発が。
しかし、誰かに掘られた時には犬の骨が先に出て、「なんだ犬か」となるよう仕組まれている悪知恵。
美味しい野菜ができるかなー
>夢にてもせめて会いたし 恋い焦がれ 濡らす枕は君の骨壷
情のある歌を…と思って作ったけど怪談ではないような。
おたふくちゃんは返歌アリガトウ♪ 和歌では袖も枕もよく濡れます
>軒端から ぽたんぽたんと 指が落つ 拾ってかじる 人面ねずみ
シンプルにホラーなやつ。
人面ねずみが落ちてきた指を食っているのか、落ちてきた指を拾ってくっつけたナニカが、人面ねずみを捕まえて食ってるのか、さてどっちでしょう?
>ひとつきが ふたつきになり まだ続く 緋色の絨毯 急行の旅
レッドカーペット+急行ということで、某有名推理小説へのオマージュ
って怪談じゃなくてミステリーか
ひとつきは、ひと月ではないのです。
>孤立した 暗き山荘 手をつなぎ さあ、始めよう 怪談短歌
最終日だけどもw
連続殺人もの+交霊会のシチュエーションで歌会。無事にすむといいねw
今年も、短歌を作る過程でできてしまった怪談川柳たち。
メモがてらに一挙掲載な
・ガキ喰えば鐘が鳴るなり法隆寺
・置いてけと声が聞こえる排水口
・腹の虫 羽化して残す 木乃伊かな
・急に字が上手になった自動書記
・塩撒けば 家族がみんな いなくなり
・小袖の手 八つ口見せる チラリズム
・文字が皆 羽虫に見える 呪い受け
・白無垢も経帷子も白は白
・賽子の目をひとつずつ潰してく
・溺死した 友からメールで スマホが故障
・あなたから 届いた手紙 釘を打つ
・図書館の 本が吐き出す 蜃気楼
・言魂を 千年残す 短歌の呪